2009年11月9日月曜日

沈まぬ太陽~若松節朗監督、渡辺謙、三浦友和、鈴木京香主演

物語は日本が高度経済成長を実現し世界経済の頂点へと上りつめていく時代。巨大組織の中で翻弄されながらも、強い信念と不屈の精神をもって、どんな過酷な状況をも克服していく男、恩地 元。『沈まぬ太陽』は、その生き方を通して、人間の尊厳と、飽くなき闘志と再生を描く、壮大なる人間の叙事詩である。新聞記者という来歴を持ち、常に社会への警鐘を鳴らす作品を発表し続けてきた原作者・山崎豊子自身が映像化を熱望、「この作品の映画化を見るまでは決して死ぬことは出来ない」と言わしめるほどの著者渾身の一作。映像化不可能とまでいわれた、原作の持つスケール観と時代背景を克明に再現するため、製作陣は万全の態勢を整えて臨んだ。そして、原作の刊行から10年の時を経た2009年10月―日本人の魂を揺さぶる感動と慟哭の物語が、遂にその公開を迎える。

2009年9月21日月曜日

火天の城~田中光敏監督、西田敏行、福田沙希、椎名桔平主演

天正四年(1576年)熱田の宮番匠、岡部又右衛門は、織田信長から、安土に五重の城の建設を命ぜられた。又右衛門は即座に引き受けたが、城造りを指揮する総棟梁は、名だたる番匠たちとの指図(図面)争いで決めると言う。さらに広く世界に目を向けていた信長は、当時日本にはなかったキリシタンの大聖堂のように、天井まで吹き抜けの城を望んだ。一世一代の大仕事を前に一致団結し盛り上がる岡部一門の番匠たち。夢のような城造りを前に、苦悩し、寝食を惜しんで指図作りに没頭する又衛右門を支える妻、田鶴。そして、一人娘の凛も、又右衛門の勝利をただひたすらに願った。指図争いの席、競争相手の番匠たちとは考えを異にして、又右衛門は吹き抜けにしなかった。意向に逆らった又右衛門に、激昂する信長。凍りつく指図争いの場で、又右衛門の番匠としての譲れぬ信念と誇りが信長を揺り動かした。「岡部又右衛門が、総棟梁じゃ!」やがて、大和六十六州の職人たちが安土に集結し、前代未聞の巨大な城造りが動きだした。

2009年8月3日月曜日

剣岳~点の記~木村大作監督、浅野忠信、香川照之、松田龍平主演

明治39年、参謀本部陸地測量部の測量官・柴崎芳太郎に未踏峰とされてきた剱岳への登頂と測量の命令が下った。それは日本地図最後の空白地帯を埋めるという重要かつ困難を極める任務であった。山麓の山案内人とともに測量に挑んだ男たちは山岳信仰から剱岳を畏怖する地元住民の反発、ガレ場だらけの切り立った尾根と悪天候・雪崩などの厳しい自然環境、日本山岳会との登頂争い、未発達な測量技術と登山装備など様々な困難と戦いながら測量を行うが…。

2009年5月7日木曜日

グラン・トリノ~クリント・イーストウッド監督、主演

アカデミー作品賞受賞作「ミリオンダラー・ベイビー」以来4年ぶりとなるクリント・イーストウッド監督・主演作。朝鮮戦争の従軍経験を持つ元自動車工ウォルト・コワルスキーは、妻に先立たれ、愛車“グラン・トリノ”や愛犬と孤独に暮らすだけの日々を送っていた。そんな彼の隣家にモン族の少年タオの一家が越してくる。ある事件をきっかけにして心を通わせ始めたウォルトとタオだったが、タオを仲間に引き入れようとする不良グループが2人の関係を脅かし始め……。

2009年4月26日日曜日

レッドクリフパート2~ジョン・ウー監督、トニー・レオン、金城武主演

曹操(チャン・フォンイー)の元へ男装して潜入していた孫権の妹・尚香<しょうこう>(ヴィッキー・チャオ)は、疫病で亡くなった兵士たちの死体が船に積まれ、連合軍のいる対岸へ流されていく光景を目撃する。死体に触れた連合軍の兵士から次々と疫病が感染し、曹操の非情なやり方に周瑜(トニー・レオン)をはじめ、連合軍は憤りを感じ、劉備軍は自軍の兵と民のために撤退を決意するが、孔明はただひとり戦地に残るのだった。
死線を越えたかけひき、繰り広げられる頭脳戦!
劉備たちが4万本の矢を持っていったことの責を問われた孔明は、三日で10万本の矢を調達すると周瑜に宣言。一方、周瑜も水上戦に長けた曹操軍の武将二人を排除すると宣言する。お互いの首をかけた発言に周囲は冷や冷やするが、当の本人たちは涼しい顔をしているのであった。
孔明の秘策、周瑜の戦略、小喬の決断。それぞれの命運は赤壁へ―。
連合軍が曹操軍を撃退するための作戦を練っているその時、自分が戦争の発端であることを知った小喬は、一艘の舟に乗って曹操のもとへと向かっていた…。圧倒的な戦力差の連合軍に、はたして勝ち目はあるのか!?周瑜は小喬を取り戻すことができるのか!?孔明の秘策は通用するのか!?劉備たちは戻ってくるのか!?歴史に残る大戦“赤壁の戦い”がいよいよ決着の時を迎えようとしていた。

2009年2月26日木曜日

チェンジリング~クリント・イーストウッド監督、アンジェリーナ・ジョリー主演

1928年のロサンゼルスを舞台に、誘拐された息子の生還を祈る母親(アンジェリーナ・ジョリー)の闘いを描くクリント・イーストウッド監督によるサスペンスドラマ。息子は無事に警察に保護されるが、実の子でないと疑念を抱いた母親が、腐敗した警察に頼らずに自ら息子の行方を捜して行動を起こし、同時に市長や警察機構を告発する。

7つの贈り物~ガブリエレ・ムッチーノ監督、ウィル・スミス主演

男の名前はベン・トーマス。ベンは7人の名前が載ったリストを持っている。彼らは互いに何の関係もない他人同士。ベンは彼らに近づき、彼らの人生を調べ始める。そして、ある条件に一致すれば、彼らの運命を永遠に変える贈り物を渡そうとしている。ベン・トーマスとは何者なのか?彼の目的は何なのか?そして、贈り物の中身とは…?

2009年2月8日日曜日

ベンジャミン・バトン~デウ゛ッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット主演

F・スコット・フィッツジェラルドの短編小説を『セブン』のデヴィッド・フィンチャーが映画化した感動巨編。第一次世界大戦時から21世紀に至るまでのニューオリンズを舞台に、80代で生まれ、徐々に若返っていく男の数奇な運命が描かれる。主人公のベンジャミン・バトンを演じるのはフィンチャー監督作に3度目の主演となるブラッド・ピット。共演は『バベル』でもブラッドと顔を合わせたケイト・ブランシェット。誰とも違う人生の旅路を歩む、ベンジャミン・バトンの運命の行方に注目だ。

2009年1月18日日曜日

禅ZEN~高橋伴明監督、中村勘太郎、内田有紀主演

日本曹洞宗の開祖、道元禅師の生涯をつづった伝記映画。鎌倉時代に宋へ渡って禅の神髄を体得した道元が、寺院焼き打ちなどの困難を乗り越えて教えを広めていく姿を描いた。中国ロケや四季の映像美などからは、説教臭くなりがちな既成の宗教映画から脱皮しようとする意気込みが伝わる。
 道元役の中村勘太郎の立ち姿、細かな所作、透き通った声は絶品。「只管打坐(しかんたざ)」など難しい禅の言葉が出てくるが、それらに固執せず、道元の生き様と求道精神に着目した方が楽しめるかも。遊女おりん(内田有紀)やその夫、煩悩のために寺を去る若い僧を登場させ、現代人との間の垣根を狭めた。